QOLが低下する病気の知識 機能性ディスペプシアについて

【機能性ディスペプシアの本当の原因は?】まず発症のキッカケを知ることが大事

機能性ディスペプシアという病気について皆さんは詳しく知っておりますでしょうか?

この病気は「胃の消化機能が正常に機能しなくなる病気」です。

機能性ディスペプシアになると、どのような症状が出てどのような苦しみがあるかに関しては以下の記事に詳しく書いておりますので、まずはこちらからご覧ください。

参考記事
【機能性ディスペプシアとは?】日常生活の質が著しく下がる胃の難病です

機能性ディスペプシアという病気をご存じですか? 別名が機能性胃腸障害(英名:Functional Dyspepsia)とも呼ばれており、胃の ...

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この病気は現在の医学では完治させることが難しい病気で、この病気になる原因ですらハッキリ特定できていません。

治療方法として、胃の機能を改善させるアコファイドという特効薬が用いられていますが、実際にこれで完治に至っている人は少ないようです。

私が不思議なのは、原因がハッキリ特定できていないのになぜ特効薬ができるのかということです。

原因が不明なのに、患者さん全員に対して薬の効果を発揮する訳がないと個人的には思っています。

だからこそ、機能性ディスペプシアになった本当の原因をもっと突き詰めていかなければならないのではないでしょうか?

よって今回は患者さんにご協力いただいたアンケートによる機能性ディスペプシアになったキッカケの結果に基づいて、原因に結びつけることができるような仮説を立てていきたいと思います。

そして、この記事が近い将来に医師の人の目に留まることで少しでも今回の考察を患者さんの治療に役立てていただき、効果的な治療方法を開発していただけることを目的としております。

 

注意

この記事は私や患者さんの経験に基づいた上で考察した内容を書いておりますが、原因や治療方法は私の想像の域を脱しない部分も多いため、患者さんは紹介している薬を独断で服用することは絶対に避けてください。

 

 



 

機能性ディスペプシアになったキッカケ

今回はこの記事を書くに当たって、機能性ディスペプシアの患者さんからTwitterでアンケートを取りました。

その結果はこちらです。

結果をご覧いただくと分かるように、機能性ディスペプシアになったキッカケは「徐々に症状が出始めた」人が一番多くなっています。

大きなキッカケというものがなく、この病気にかかってしまった人が多いのです。

ちなみに私は人生で二度の機能性ディスペプシアを経験しておりますが、その両方とも強烈な吐き気がキッカケでした。

ですので、私の中では「強烈な吐き気」が一番多くなるだろうと予想しておりましたが、実際は他のキッカケでなった人や大きなキッカケが無かった人の方が遙かに多いことが判明しました。

そして「その他」でいただいた意見も機能性ディスペプシア特有の症状から始まっているのがほとんどでしたので、「大きなキッカケがあってから機能性ディスペプシアの症状が出始める場合」と、「急に機能性ディスペプシアの症状が発生する場合」の2種類が存在することが伺えました。

ただ、どのキッカケでも患者さんによって症状が様々であったので、提供いただいたケースをご紹介していきます。

 

強烈な吐き気

こちらは私が経験したことですが、前日の夜ぐらいから風邪のような症状が出て胃が重かったことから晩ご飯をほとんど手を付けることができませんでした。

その時覚えているのは、鼻の奥がツーンとしたような大きな痛みがあったことです。

そして翌日も症状が変わらない状態だったのでほとんど何も口にしない状態で電車に乗った際に、突然胃の中から内容物がこみ上げてくるような大きな吐き気に襲われました。

吐き気が強すぎて頭がグラグラするような状態になっており、その翌日までも電車に乗れないレベルの吐き気だったので、自分の身体に一体何が起こったんだと思った記憶があります。

ここまでの大きな吐き気は機能性ディスペプシアになってからも一度も経験しておらず、記憶している限りだと過去には1度目の機能性ディスペプシア発症時で2度目はウイルス性の急性胃腸炎だけでした。

吐き気のあった当日に病院へ行った際に急性胃腸炎と診断されましたが、それからしばらくしても吐き気が治まらなかったので今までの胃腸炎とは明らかに別種のものだと感じました。

 

強烈な腹痛

反対にこちらは私が機能性ディスペプシアで経験したことがないものですが、急激な腹痛から起こる場合もあるようです。

背中の痛みがある程の胃の痛みというのは、相当激しいものだと思われます。

キッカケとして起こる場合の胃痛の種類としてはズキズキするといった感覚のようです。

また、油物を食べたり炭酸を飲むと胃に激痛が走ることようなケースも見られます。

機能性ディスペプシアになってからでも胃痛が起こる人と起こらない人がいるようで、このように最初に胃痛が発生しても半年程すると治まることもあるようです。

 

逆流性食道炎のような症状

こちらは吐き気ではなく、何かがこみ上げてくる感覚に襲われたといったケースです。

私の強烈な吐き気のケースでは食べた物が逆流してくることで吐き気が起こっていましたが、こちらのケースでは恐らく胃酸が逆流してきたのではないかと考えられます。

逆流性食道炎になると食欲が低下すると言われておりますので、このケースの場合は症状が出た時点では逆流性食道炎だったとは思いますが、検査では異常が無かったので逆流性食道炎が機能性ディスペプシアになったキッカケではなく、この前から何かが原因で既に機能性ディスペプシアになっていた可能性も考えられます。

 

反対にこちらのケースでは逆流性食道炎を半年ほど患っており、その後に胃もたれや吐き気のような機能性ディスペプシアの症状が出始めているので、キッカケは逆流性食道炎である可能性が高いと思われます。

 

お腹が空かない

お腹が空かないのは機能性ディスペプシアの大きな症状の一つです。

この症状が突然あらわれるケースもあるようです。

このパターンでは何かしらの原因で徐々に機能性ディスペプシアになってきて、病気の症状の一つであるお腹が空かないという症状が出てきたのではないかと思われます。

 

早期膨満感

こちらも同じく機能性ディスペプシアの大きな症状の一つですが、早期膨満感がキッカケになる場合もあるようです。

このパターンも、徐々に機能性ディスペプシアになったのではないかと考えられます。

なお、このケースでは機能性ディスペプシアになったことによって「食べるのが怖い」となってしまったことで、回避制限性食物摂取症という病気も後に発症してしまったようです。

 

食欲不振

こちらは早期膨満感とは異なり、食欲が無くなることでほとんど食べれなくなるケースです。

機能性ディスペプシアの場合は食欲がある患者さんが多いので食欲が無くなるケースは珍しいですが、

こういった珍しいケースでも治療に繋げるための一つの症状として無視できないものだと感じます。

 

キッカケから考えられる原因

これらのキッカケから、どのようなことが原因で機能性ディスペプシアになってしまったのでしょうか?

医学的根拠がない部分もありますが、患者さんからいただいた意見を基に考えられる原因の可能性を以下に挙げてみました。

一つ注意していただきたいのが、どの発症例を見ても言えることですが生まれつき胃が強い人は同じ原因でも発症しないので、機能性ディスペプシアになる人は元々胃自体が弱いことが前提となります。

 

リズムが異なる不規則な生活により発症

こちらに関しては、既に医師の間で機能性ディスペプシアの一番の原因とされているものです。

生活リズムというのは皆さんが今まで築き上げてきたものがあると思います。

朝7時に起きる→朝食を食べる→12時に昼食を食べる→19時に夕食を食べる→23時に就寝

例えば、このような生活が一般的に健康に良いとされていますが、仕事や遊びなどによりこのペースが乱れることがありますよね?

私の場合ですと、前の会社では残業が酷かったので夕食は会社で22時や23時に食べることがほとんどでした。

そして今では、シフト勤務により朝一で出社したり昼明けに出社したりする2交代勤務になっています。

このように本来の良いとされている生活リズムから外れて、変な時間に食事を取ったり極端に起床時間が早かったり就寝時間が遅かったりした生活が続くことで、自律神経が混乱を起こして胃の機能が正常に働かなくなってしまうのではないかと考えます。

急に大きな症状が出ることなく徐々に症状が現われてきた患者さんは、自律神経の乱れから機能性ディスペプシアを発症したのかもしれません。

 

消化器系の病気から発症する

こちらは、胃腸炎や逆流性食道炎のような消化器にダメージを与える病気により、機能性ディスペプシアになってしまうパターンです。

私の場合も、2度の機能性ディスペプシアで最初に診断されたのは両方とも胃腸炎でした。

機能性ディスペプシアは胃の中を内視鏡検査しても何も見当たらないのが特徴ですが、私の場合に1回目は胃の中に無数の傷が発見されました。

そしてしばらくして再度検査へ言った際には傷は消えており異常は無かったのですが、症状は残ったままでしたので、この胃腸炎がキッカケで機能性ディスペプシアにかかったのでしょう。

胃腸炎の場合はウイルス性や食中毒のような急性の場合とストレスや暴飲暴食の負担による慢性の場合の2パターンがありますが、1回目の場合はまさに後者のパターンでした。

2回目は最初の時点で胃の中に異常が見当たらなかったので、前者のウイルス性か食中毒でなったものと思われます。

ただ、その1年前にノロウイルスのような急性胃腸炎に掛かったことがあったことに加え、夜中に油物を食べるといった暴飲暴食を繰り返していた時期があったため、機能性ディスペプシアになったのは今までのダメージが蓄積されていったのでしょう。

このように、その人が本来持っている胃の許容量に対してダメージによる限界が近い時に胃腸炎や逆流性食道炎などを患ってしまうと、それが引き金となって機能性ディスペプシアになってしまうのではないかと考えています。

先程が自律神経の乱れが原因であるとすると、こちらは胃の劣化が根本の原因だと推測できます。

よって急激に大きな症状が現われた患者さんは、そもそも今までのダメージが蓄積されてきたことによる胃の劣化がキッカケとなる消化器系の病気を引き起こした影響かもしれません。

 

心因性のストレスから発症する

患者さんの声に挙がっていたように食欲がないといった現象は、うつ病で起こる症状でもあるので機能性ディスペプシアとうつ病は密接な関係があると思っています。

そして、そのうつ病は神経伝達物質が低下することで引き起こされると言われています。

シオノギ製薬より

このように、ドパミンとセロトニンの物質が少ないことで食欲の低下に繋がる仕組みになっています。

この仕組みから分かるように、機能性ディスペプシアになったキッカケが食欲不振からによる場合は、今まで不安や緊張などで脳に負荷を掛け続けたことにより神経伝達物質の低下を招いてしまった可能性も考えられます。

また、機能性ディスペプシアになっている患者さんは嘔吐恐怖症の人が多いことが見受けられます。

嘔吐恐怖症というのは「自分が吐くことが怖い、また人が吐いているのを見るのが怖い」といった人のことを指します。

この嘔吐恐怖症が機能性ディスペプシアの事前か事後に発生した症状なのかにもよりますが、元々嘔吐恐怖症を持っている人が多いのであれば機能性ディスペプシアになったことと何か関係しているのではないかと思います。

例えば、発症前の場合でも吐くことが怖いから食べることに対して無意識にセーブしてしまい、その不安や恐怖心に対するストレスから機能性ディスペプシアが発症してしまったようなこともあり得ると考えてます。

もし、患者さんの中に昔から食べ過ぎないように注意している人ばかりであれば、まんざら的外れではないかと思っています。

 

ちなみに、私も以前までは嘔吐恐怖症の予備軍でした

 



 

今後の治療法について

上記にご紹介したように、機能性ディスペプシアの原因でも急に発症する場合と徐々に発症していく場合の2パターンあることが推測できますし、更にその中でも原因のすみ分けが可能であるので、それに応じて治療の仕方をそれぞれ変えていく必要があるのではないでしょうか?

原因をしっかり把握した上で的確な治療をすることで完治する可能性が大きく上がってくると考えています。

 

胃の外部や内部を強化する薬や手術

まず根本の原因として胃の弱い人が機能性ディスペプシアになっているので、胃自体を筋トレした後の筋肉のように強化するような薬を開発するか、手術によって直接胃の外側に強化パーツのようなものを取り付けることができるようになると改善させるのには一番有効だと思います。

機能性ディスペプシアを2回目に発症した場合は完治した話を聞いたことがないので、完全に胃が年数やダメージと共に劣化が進んでしまったことで、回復が1回目と比較して非常に遅いのではないかと推測しています。

したがって、2回発症してしまった時点で動きを改善するぐらいの薬では、完全に弱りきってしまった胃に対しての効果が薄いということが分かります。

ある程度お金を積んだとしてもこの病気を治して欲しいと願っている患者さんは非常に多いはずなので、医師の人には是非ともこの直接的な方法で改善できるような開発をお願いしたいと思います。

 

神経に作用する薬の的確な投与

自律神経の乱れによるものや心因性の病気になってしまった患者さんには、神経に作用する薬を服用や注射することで本来の状態へ整えることが必要だと考えます。

先程のうつ病でご紹介したように不足した神経伝達物質を本来の量まで戻すような薬が開発されているようなので、食欲不振が原因であればドパミンとセロトニンの物質を増加させる薬を医師が的確に判断して投与していくのが望ましいです。

例えばドパミンに作用するのはドグマチールと言われておりますので、もう一つはセロトニンに作用する薬を投与するなど。

とにかく心因性が原因の患者さんにアコファイド、また消化器系の病気が原因の患者さんにドグマチールを使用しても意味がないと思ってしまうのです。

私も一時ドグマチールを服用しており、短期間のみ食欲が増進される効果は見られましたが継続的な効果は現われませんでした。

これは、私が消化器系の病気がキッカケで機能性ディスペプシアになったからではないのかと考えております。

 

鍼灸治療を継続できる制度の発足

機能性ディスペプシアの治療として患者の間で注目されているのは鍼灸治療です。

こちらは自律神経に作用する効果があるようで、実際に治療を受けた時には胃が動き出すような感覚があり、患者によってはしばらくご飯が食べられるようになるといった声もあります。

ただ、効果が何日も続く物ではないので継続的に通う必要がありますが、料金が高いので頻繁に通うことができないのがネックとなっています。

1回施術を受けるのに5000円ほど必要となってくることから週1回のペースで通っても20,000円になりますので、いつも通っている病院の治療代も含めると生活に影響が出るレベルになってくるでしょう。

ただ、保険が適用できる場合もあるようで、その際は同意書が掛かり付けの医師から同意書をもらう必要があります。

ですが、私は鍼灸治療に週1回ペースで通いたかったので同意書を掛かり付けの医師へ見せたところ、「機能性ディスペプシアでは該当する項目がないので同意できない」との事でした。

その項目は腰椎椎間板ヘルニアのような明らかに外部に症状がある病気しか記載されていないので、機能性ディスペプシアに当てはまるものはなく、その他の項目で記載をお願いしましたが拒否されてしまいました。

このように治療として鍼灸が一つの光になり始めているのに、患者の負担に大きいことから継続して通うことができないことが問題なのでしょう。

したがって、機能性ディスペプシアの患者さんによる鍼灸治療費は国が一部を負担すべきだと考えます。

最後に

機能性ディスペプシアはまだまだ未知な部分も多いですが、患者さんの声をしっかり聞いていくと解明されていくこともあるんだなとご理解いただけると思います。

世間ではあまり認知されていない病気のため、現在起こっている患者さんの症状をリアルタイムで拾っていって世間へ発信していくことが、少しでも効果的な治療へ近づける突破口の一つだと思っています。

患者さんに今回ご紹介した原因や治療方法を医師へ相談される際の一つの参考材料として使っていただけることで、少しでも効果的な治療を受けることができ、苦しんでいる現状から脱却するためのお力になれば幸いです。

そして同様に、医師の人にもいつの日かこの記事を見ていただくことで患者さんの治療における参考材料として使っていただけることを願っています。

 

ではまたお会いしましょう。

  • この記事を書いた人

ワナビー松本

機能性ディスペプシアを筆頭にうつ病や不安障害も患った経験から現在は心理カウンセラーとして活動中。

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