QOLが低下する病気の知識 不安障害について

【異常に気になるのは病気?】それは強迫性障害かもしれません

皆さんは自分のしたことに対して異常に気になってしまうことはありませんか?

私は現在心理カウンセラーとしても活動しておりますが、相談者様から「○○に対して異常に気になって仕方が無いのだが、どうすれば良いのか?」といった相談を時々受けることがあります。

気になると言えばHSPも当てはまると思われますが、こちらは生まれ持った気質である可能性が高いとされており病気ではないのですが、HSPとは別に自分の行動に対して異常に気になることが病気と認定されているものがあるのです。

HSP参考
【HSPは生まれつき?】いえ、後天的になる可能性もあります

皆さんは”HSP”という言葉をご存じでしょうか? こちらはHighly Sensitive Person(ハイリー・センシティブ・パーソン) ...

続きを見る

 

それが強迫性障害」と呼ばれるものです。

 

普通の人でしたら自分や周りに対して気になってしまうことは「神経質な人」ぐらいで収まることが、強迫性障害になると「生活に支障が出るレベルで気になってしまう人」となってしまいます。

実は私も医師から強迫性障害と診断されたわけではありませんが、明らかに強迫性障害に近いレベルの行動をしていたことで日常生活に支障が出ている日々が続いておりました。

皆さんの中でも「これだけ気になるのって私だけなのかな?」と疑問に思われている人もいらっしゃると思いますので、今回は強迫性障害の症状が一体どんなものなのか、そして症状が起こる本当の理由を私なりに考察した上で症状を抑えるための解決策を紹介していきたいと思います。

 

 



 

強迫性障害とはどんな症状が当てはまるのか?

 

そもそも強迫性障害とは、「自分の意に反して本来であれば気にするようなことでもないことでも異常なまでに気にしてしまい、その強迫概念を打ち消そうとして必要以上に無駄な行動を繰り返してしまう病気」のことです。

そこで、実際にどのような症状があるのかを私が実際に体験したことや他の患者さんから聞いた事例をご紹介します。

もし当てはまっている症状があった場合は軽度であっても強迫性障害を患っている可能性がありますので、一度セルフチェックしてみてください。

 

鍵を掛けたかどうかが気になる

普通の人でも家の鍵や車の鍵といったものは1回ぐらいは確認されると思います。

しかし、強迫性障害の場合は不安に襲われることから確認する行為を何回も行なうようになるのです。

しかも家を出る時に何回も確認しているにもかかわらず、外出中にも「家の鍵ってちゃんと掛けたっけ?」「さっき鍵を掛けた記憶があるけど、あれって昨日のことじゃなかったっけ?」といったような強迫概念が頭から離れなくなってしまいます。

こうなると、強迫概念を打ち消すためにもう一度家に帰って確認するぐらいしないと耐えられないぐらいの状態になるので、無駄な時間を使うことになったり精神的にも非常に疲れてしまうことでしょう。

私は以前勤めていた会社で締め作業を担当していたことがあり、その際に全ての鍵を閉めなければならない状況でしたが、全ての机のキャビネや事務所の扉などは何回も確認していたので締め作業が遅くなっていたしまったことが何度もあり、会社に迷惑を掛けるといった仕事の上でも影響が出ておりました。

 

火を消したかどうかが気になる

家を出る時や寝る前に家のコンロの火が付きっぱなしになっていないかといったことは、普通の人でも火事のことがあるので全く意識しないことはないでしょうが、それでも1回確認するぐらいではないかと思われます。

ですが強迫性障害の場合は、既に家を出ているのにまた家に戻ってコンロを確認しにいったり、布団に入っているのにわざわざコンロの火が消えているかを確認するために家の中を何往復もしたりすることがあります。

しかも以前の私はドライヤーやヒーターの熱で発火して火事になるのではないか、コンセントから出火するのではないかといった普通は気にも留めないことが気になって、ドライヤーやヒーターを何度も触って熱さを確認したり、コンセント周りに燃えそうな物が置かれていないかを何度も確認したりといったこともありました。

また、こちらのケースはタバコの火に関しても当てはまり、家であっても外の喫煙所であってもちゃんと火を消したかどうかを何度も確認したり、また吸い殻が灰皿ではなく地面に落ちることでそこから火事へ発展することを恐れて灰皿に捨てたにもかかわらず再度自分の吸い殻が地面に落ちていないかを何度も確認する場合があるのです。

 

手を頻繁に洗う

こちらは潔癖症とも呼ばれているので、意外と周りの身近な人でもいらっしゃるかもしれません。

特に今はコロナウイルスが流行っている状況ですので、何かに触れる度にアルコールで消毒する人も多いことでしょう。

したがって、これぐらいの行動では現代の日常生活において支障がそれほどないと思われます。

ですが、本当に酷くなると何をしていても常に手を洗っていないと気が済まないようになってくる可能性があり、実際にこういった状態になったことで周りの人に迷惑を掛けてしまい、普通に仕事をすることが出来ないと悩んでいる人もいらっしゃるのです。

潔癖に関しては「地面に置いたカバンを触れるのに抵抗がある」「衛生面が気になって外のトイレに入れない」といったことも、酷い場合は強迫性障害の症状に当てはまるようです。

 

郵送物を確実に送ることができたかどうかが気になる

こちらは郵送するための封筒に送るべき物をしっかり入れたのか、またポストへ投函する際にちゃんとポストの中へ投函できたのか等を気にすることです。

送った後にもかかわらず、「あの書類を入れ忘れていたような気がする…」「送った封筒の糊付けが甘かったけど、郵送の途中で勝手に開封して中身が全部無くなったり誰かが意図的に開封して情報を盗まれたりしないだろうか…」といったことを異常なまでに気にしてしまいます。

私の場合ですと、ポストに投函した後に「ポストカバーに郵便物が挟まってしまって他の人に盗まれたりしないだろうか…」と恐怖になって、無駄に何回もポストカバーの開け閉めを繰り返していたことがありました。

 

冷蔵庫が閉まっているかどうか気になる

冷蔵庫は基本的には常温で保存が出来ない食べ物や飲み物を保管しておくための物です。

強迫性障害は飲食物を冷蔵庫の中に入れているにもかかわらず、実は保管が甘いのではないかとたまらなく不安になってしまうことがあります。

ですから、もしドアの閉め方が緩くて隙間が出来ていたら中の物が腐ってしまうのではないかと恐怖になって何度もドアと本体のパッキン同士がくっついているかどうかを確認したり、ドアが閉まっている感触が確認できるまで何度もドアを押すような行動をしてしまいます。

 

トイレで便を流したかどうかが気になる

こちらは排便後にしっかり水で流したかどうかを確認することです。

家のトイレであれば他の家族が、外のトイレであれば不特定多数の人が自分の後に使用することになるので、流し忘れたりすると自分の汚物が他の人に見られてしまう恐怖に襲われます。

そうなると何度もトイレの中を確認してしまうことは勿論のこと、便座にも何か自分の痕跡が付いていないかを何度も確認してしまうのです。

 

背後の存在が気になる

こちらは自分が何かしている時に何故か非常に背後が気になって、何度も振り返ったりチラ見したりすることです。

実際に背後に人がいる場合でもいない場合でも気になってしまう状態で、自分のこと自体を見られているのか自分の触っている物を見られているのかのどちらのパターンもあり得ると思われます。

前者では自分に対して直接何か危害を加えられるのではないかといった恐怖、また後者では自分の触れている物から情報が盗まれるといった間接的に何かされるのではないといった恐怖を感じてしまうと考えられます。

 

なぜ異常なまでに気になってしまうのか?

 

先ほど紹介したような普通の人からしたら異常とも言える行動ですが、なぜ強迫性障害の疑いがある人はこれ程までに気にしてしまうのでしょうか?

私が自分の経験や患者さんの経験談から考察した際に、ある2つの大きな恐怖心が影響しているのではないかといった結論が出ました。

それがこちらです。

異常に気になる原因

・自分が死ぬこと(死ぬぐらい辛い恐怖)を想像してしまう

・相手が死ぬことを想像してしまう

 

一体どういうことかを説明していきますね。

まず「自分が死ぬことを想像してしまう」に関してですが、こちらは家の鍵を掛けたかどうかの事例にで説明すると、もし家の鍵をかけ忘れた際に起こりえる可能性として家の中に強盗が侵入してくることです。

お金を取られるぐらいならまだマシですが、もし凶悪犯だった場合は最悪命を奪われてしまう可能性もあります。

また、「死ぬぐらい辛い恐怖を想像してしまう」というのは、例えば私のような胃の慢性疾患を患っている人の中には吐くことに対して死ぬことと同じぐらいの恐怖(嘔吐恐怖症)を抱えていることがありますが、こういった患者さんであれば嘔吐の可能性が高いウイルス性胃腸炎や食中毒に感染することが恐怖なので、万に一つでも感染することを防ぐために頻繁に手を洗ったりするのです。

トイレの水を流し忘れた場合に関しても、何かの拍子で自分のものだと分かった場合に大きな恥をかくことが死ぬほど怖いといったことが当てはまるでしょう。

次に「相手が死ぬことを想像してしまう」に関してですが、こちらは火を消したかどうかの事例で説明します。

もし火を消し忘れた場合に起こりえる最悪の状況としては、家が火事になってしまうことでしょう。

アパートやマンションが火事になったら他の部屋の住人を巻き込む可能性が高いですし、一戸建てであっても隣の家に火が移らないとも限りません。

そうなったら、自分の火の不始末が原因で関係のない周りの人を巻き込んで間接的に命を奪ってしまう可能性があります。

 

このように普通であれば極端な考え方ではありますが、強迫性障害になっている人は無意識の内に毎回こういった極端な思考回路になってしまっている可能性があるのです。

それは言い換えるとこうなります。

 

常に最悪の事態を想像してしまっている

 

これが強迫性障害の本当の原因ではないかと私は考えております。

強迫性障害の人にとっては、自分であっても相手であっても死んでしまう可能性が非常に高いこと、今の自分にとって死ぬぐらい辛い出来事が起こるといった最悪のケースを想像してしまっている可能性が高いのです。

そういった最悪のケースを万に一つでも防ごうとして、何度も無駄な行動をしてしまうのではないでしょうか?

 



 

強迫性障害になるキッカケは何なのか?

 

これには多くのキッカケがあると考えております。

誰もがそうですが、生まれてから今までの間に様々な経験をされてきたはずです。

その中で「辛い!」「苦しい!」「嫌だ!」といった悪い方にインパクトの大きい出来事が頭のどこかに残っていて、それがトラウマのようになっているのではないでしょうか?

そこで私の経験も含めて、私なりの考えられるキッカケをいくつか挙げてみたいと思います。

 

幼少期に受け続けた躾(しつけ)

ほとんどの人が自立するまでは、社会に出るために必要となるものを親や学校の先生から躾を受けてきたと思います。

例えば「外から帰ってきたり食事の前は手を洗いなさい」「家を出る時は必ず鍵が掛かっているかを確認しなさい」といったことです。

ある時期までは親や先生から受けた躾は必ず守らなければならないという概念が頭のどこかに残っているのは普通のことですが、強迫性障害ではその概念が現在でも消えずに言われたことをずっと守っている可能性があります。

当時はどういった理由で躾をされていたのか分からなかったとしても、ある程度物心付いてくると意味が分かってくるようになって、「手を洗わないと食事に菌が入ってウイルスに感染する」「鍵を掛け忘れると強盗が入ってきてお金を盗まれたり殺されたりする」といった可能性があると理解するのです。

だから、余計に躾けられたことは絶対に守る必要があると思い込んでしまうのでしょう。

 

感染症や病気によって非常に苦しんだ経験がある

過去にウイルスによる感染や病気によって非常に苦しんだ経験がある人は、また同じ状況で感染することを恐れる可能性は高いでしょう。

今ですとコロナウイルスによってアルコール消毒は当たり前になっていますが、感染症や病気で苦しんだことのある人達はその前から頻繁にアルコールで消毒したり頻繁に手を洗っていた可能性があります。

一度体験した感染症や病気でなくても、数ある症状の中の一部に対して異常なまでの恐怖を抱いている場合は、その症状が発生する可能性のある感染症や病気を徹底的に予防しようとする人も少なくありません。

例えばノロウイルスのような嘔吐が激しいものであれば、以前に嘔吐がキッカケで嘔吐恐怖症になってしまった人にとっては死ぬほど怖いものですので、ノロウイルスにだけは絶対に掛からないように石鹸を使って必要以上に何度も手を洗うことをしてしまうといったことです。

 

生活が困難になるほどにお金に苦労した経験がある

過去に食べるものに困るほどお金が無かったり、借金によって追い込まれるといった辛い思いをしたことがある人は、お金が無くなることに対して周りの人よりも大きな恐怖を感じている可能性があります。

だからこそ、もし火事にでもなって家が燃えて財産が一つも無くなってしまったり、家に強盗に入られて財産を全て持ってかれてしまうことは万に一つでもあってはいけないと考えてしまい、徹底的な確認を怠らないようにしようとするでしょう。

また、買い物をしている際にクレジットカードで暗証番号を打ち込む時に見られてしまうことでお金を全て引き出されるかもしれないといった恐怖から、何度も後ろを振り返ったりしてしまうかもしれません。

私の場合で先程仕事の締め作業でキャビネや扉の鍵を何度も確認してしまうとお話しましたが、こちらも突き詰めていけば「会社の大事な情報や資産が盗まれてしまう」→「責任を取らされて会社をクビになってしまう」→「収入が無くなって生活ができなくなってしまう」といったことになりますが、私がもっと恐れていたのは「会社の大事な情報が外に漏れて会社が存続できなくなる」→「会社に所属している従業員の収入が無くなって生活ができなくなってしまう」→「その中の誰かが生活を苦に自殺してしまうかもしれない」といった自分が誰かの命を間接的に奪ってしまうかもしれないといった最悪のケースを想像してしまっていたのです。

 

思春期までに大きな恥をかいたことがある

大人になるまでの間は学校という組織で過ごすことになりますが、この時期は隠しているプライベートを知られたりするとクラスメートの集団から笑われたり、からかわれたりすることがあります。

その中でも症状の項目に挙げていたトイレの水を流したか気になる事例を例に取ってみると、便をしているところを見られたことで当時は恥ずかしいと思われた人が多いかもしれません。

便を流していないところを見られた場合は尚更だと思われます。

幼少期から思春期まではこういった笑いに繋がりそうな話題をクラスメートに言いふらしたりすることも多いので、集団から笑われたり、からかわれたりすることもあったかもしれません。

このような状況を経験している人、または他の人がそうなっている現場に遭遇した人は、大人になっても当時の同じ行動が大きな恐怖として残っている可能性があります。

 

ストーカーをされたことがある

こちらは女性の人が多いと思われますが、過去にストーカーをされたことがあった場合は誰かに付けられているかもしれない恐怖から背後が非常に気になってしまうと思われます。

特にメディアによってストーカーをされた人が命を奪われたという話を大体の人が聞いたことがあることから、誰かに付けられることは最悪のケースとして「家を突き止められる」→「侵入される」→「命を奪われる」と連想してしまうのは無理もないことでしょう。

だから、万に一つでも尾行されていないかを何度も振り返って確認するようになってしまうかもしれません。

 

心霊現象が脳裏に焼き付いてしまっている

他の例でも予想以上に怖い出来事というのはトラウマとして残ってしまうものですが、幽霊のようなホラー現象を実際に体験したりテレビや本で見たりして怖い思いをした場合でも、いつまでも脳裏に焼き付いて離れない可能性があります。

このような状態になると、ちょっとした隙間が空いているだけでも異常に気になったり、誰もいないはずので背後が気になったりするかもしれません。

実際に私もホラーに対してトラウマがあったので、ある時期までは非常に気になって何度も家の中や背後を調べていたことがありました。

 



 

症状を少しでも抑える方法について

 

正直に申しますと、強迫性障害の症状を完全に完治させることは非常に難しいことだと思われます。

なぜなら、心身症や心の病と同じように原因やキッカケが完全に把握できていないからです。

ですが、上で紹介した原因やキッカケに少しでも思い当たる部分があった場合はその症状ごとに対処の方法を変えていくことで症状を多少緩和させることができるのではないかと私は考えております。

実際に私は病院へ通わなくても、以前よりは症状を抑えることができています。

紹介したものを全てを私が経験したわけではありませんので全ての対処方法をお伝えすることはできませんが、これから紹介する対処方法を応用して利用していただくことはできるかもしれません。

 

宝くじ理論で考える

こちらは最悪のケースが起こる確率は「宝くじの1等が当たる確率並に低い」と考えてみるといった意味です。

年末ジャンボの1等が当たる確率は2,000万分の1と言われておりますので、現時点で気にされていることに対して2,000万回あって初めて1回遭遇するぐらいだと考えてみていただければと思います。

例えば家に強盗が入ってきて命を奪われるケースですと、鍵を掛け忘れる確率が10,000回に1回だとして、その中でさらに家に誰かが侵入してくる確率が1,000回に1回を数式で表してみた場合はこうなります。

鍵を掛け忘れて家に侵入される確率

1/10,000回(鍵を掛け忘れる確率)×1/1,000回(家に侵入される確率)=1/10,000,000回

 

家の鍵が掛かっておらずに誰かが侵入してきた場合でも、それは人の命を奪うような凶悪犯ではなくて金品さえ盗むことができたらいいと考えている空き巣の可能性もあるので、実際には宝くじ1等が当たるぐらいの確率になるのではないかと考えております。

 

なぜなら、今まで鍵を掛け忘れたことがあったでしょうか?

 

人は長い間生きているとリスク回避能力が自然と身につくので、無意識にでも1度は確認をしていると思われます。

だから「鍵を掛けていないかも」と思っても、実際には鍵を掛けていることがほとんどなのです。

こちらは火を消し忘れたことや誰かに情報を見られている、心霊やストーカーの事例に関しても近しいことが言えると思います。

このように考えていただけると今よりも少し気が楽になってくるのではないでしょうか?

ただ、ストーカーであっても現時点で明らかに人物が思い当たる場合や、感染症や病気に掛かる確率というのは宝くじ1等が当たるよりは高い可能性が大きいので、こちらでは対処が難しいでしょう。

 

実際に試してみる

宝くじ理論では症状を抑えることが難しいといった人は、実際に試してみて本当に自分が想定している最悪のケースに遭遇するのかを検証してみることです。

ここで言う試してみるというのは、意図的に「火を付けっぱなしにしておく」「家の鍵を開けっぱなしにしておく」ということではありません。

「自分の意思で敢えて気をつけないようにする」といった意味です。

こうすることで「意識的に気を付けていなくても意外と何も起こらないものなんだ」と感じるでしょう。

この経験を何度も繰り返している内に最悪のケースが起こる可能性は非常に低いことを理解することができて、先程の宝くじ理論も納得することができるかもしれません。

先程もお伝えしたように人はリスク回避能力があることから無意識に気を付けているはずですので、意識的に気をつけていなくても無意識に気を付けているはずです。

そして、こちら方法は感染症や病気を恐れて頻繁に手を洗ってしまう人や食品の保存状態を気にしてしまう人にとっても有効な手段かと思われます。

食中毒や感染症の病気に関しては一度掛かると同じ型のウイルスに対してはしばらく抗体ができる場合が多いようですので、命に関わるものでも無い限りは「抗体を作るために敢えて気を付けることを止めよう」といった心構えにしておいた方が結果的に心が楽になれるかもしれません。

私もウイルスによる急性胃腸炎やコロナウイルスといった症状が辛い病気を経験しましたが、機能性ディスペプシアになって常に苦しんでいた時期よりも、健康でしばらく何もなかった時代の時になった病気の方がギャップが多き過ぎて苦しいと感じた記憶があります。

だから「どうせいつかは感染してしまうのであれば、先に掛かって次回のための予防接種としておこう」といった気持ちでいると、強迫性障害に対して多少の効果を発揮するかもしれません。

そうした心構えで生活していると何故か意外と病気に掛からないものですし、どれだけ気を付けていても病気に掛かってしまうことも多いので、そんなハッキリしない未来のために常に気にしていること自体が時間の無駄のように感じてくる可能性があります。

トイレが気になる事例にしても、仮に便を流さなかったことがあったとしても大人になったらそれを馬鹿にしたり周りに言いふらしたりする人はほとんどいないでしょうから、何度も確認するほど気にする必要はないでしょう。

 

強迫性障害として自分を受け入れる

こちらは自分が強迫性障害という病気あることを受け入れて、それに逆らわない行動をするといった意味です。

私も昔は「気にしない、気にしない」と考えて無駄な行動は避けようとしていたのですが、人間は気にしないと思えば思うほど反対に気になってしまうことが分かりました。

そこで自分が強迫性障害であることを受け入れて、その上で徹底的に強迫性障害がもたらす行動をしてみようと思ったのです。

とにかく気になるところは何度も確認したり、何か触った時は常に石鹸で手を洗うようにしてみました。

そうすると精神的に非常に疲れてくるようになり、胃が重くなったり頭が痛くなったりと身体にも不調が出だしたのです。

しかも手を洗いすぎて乾燥により皮がめくれてヒビ切れを起こしたりと、手がボロボロになってしまうことも頻繁にありました。

そんな自分の現状を見て「強迫性障害によって強制される行動がこんなに疲れるぐらいなら何もしない方がマシだ…」と思うようになってきて、強迫性障害によってもたらされていた一部の無駄な行動を抑えることが出来たのです。

そうなると、「どうせ最悪のケースが起こる確率なんて生涯ないだろうし」といったように宝くじ理論にも紐付けることができるようになりました。

 

今の行動が本当に正しいのかどうかを自分で判断する

こちらは躾によって強迫概念が出来てしまったケースのみ有効だと思われますが、躾であっても本当の意味を理解して今後もしっかり守っていくものかどうかを自分で判断するということです。

キッカケの項目である時期になると躾の本当の意味を理解するとお伝えしましたが、もし「石鹸でしっかり手を洗うことは食中毒や感染性ウイルスを予防するためのものだから」と理解できたとして、それを何度も洗うことが本当に有効なのでしょうか?

医学的にも証明されておりますが、実は何回も消毒を行なうことはバリアの役目を果たしている微生物までも減らしてしまうことで感染のリスクが高くなると言われています。

親や先生が教えた「しっかり手を洗った方が良い」という言葉を「何回も石鹸で手を洗って消毒する必要があるんだ!」と捉えてしまっている可能性があるのです。

だからこそ、本来の意味を考えた際に「本当にこの行動は必要なのか?」と一度自分にしっかり問いかけてみて必要な行動と必要でない行動を判断する必要があるのではないでしょうか?

必要ないと判断した場合は、今の行動が無駄だと感じて強迫概念も少しずつ収まっていくかもしれません。

 

病院へ行って治療する

今回紹介したような方法を試しても改善されない場合、早めにメンタルクリニックのような病院へ行くことをお勧めします。

強迫性障害は脳の神経に異常をきたしていることが身体に原因とされているので、病院で投薬による治療を試みてもらえるようです。

うつ病のような心の病と同じで薬によって完全に治るものではないことから一時的に症状を抑えるためだけになってしまうかもしれませんが、現状何を試しても収まらない症状に対して最低限であっても効果をもたらす可能性は高いでしょう。

他にも実技を試みたリハビリのようなことも治療方法として取り入れているようですので、自分でどうしようもない時は是非病院へ通うことも視野に入れてみてください。

ただし、ストーカーのように自分の身に危害を加えられる可能性を感じる場合は症状よりも自分の身の安全が最優先のため、病院よりも先に必ず警察へご相談されてください。

 

最後に

確かに自分や他人の命に関わることであれば万が一でもあってはいけないのは普通の感覚を持った人間として当然の心理だとは思いますが、全てにおいて万が一のことばかり考えていたら何も行動できなくなってしまいます。

車の運転なんかも一歩間違えたら人の命を奪ってしまう怖い乗り物でありますが、ほとんどの皆さん乗られてますよね?

これは頭のどこかで危機的意識は持っていて、それが無意識の内に働いているから毎回恐怖を感じることなく誰でも乗ることができているのだと思われます。

だから何かがキッカケで強迫性障害になってしまったとしても、「一つ一つの行動に対する意味を理解していくと症状を抑えられる可能性は大いにある」と考えていただければと思います。

今回の紹介した内容が、今お悩みの症状に対して少しでも効果を発揮していただけると幸いです。

 

ではまたお会いしましょう。

 

  • この記事を書いた人

ワナビー松本

機能性ディスペプシアを筆頭にうつ病や不安障害も患った経験から現在は心理カウンセラーとして活動中。

★オンラインカウンセリング運営中★
完全オンラインによりご自宅で受けていただくことが可能です。
日本全国はもちろんのこと、海外からもご相談をいただいております。
詳細は以下の家マークをクリックしてホームページをご覧ください。

-QOLが低下する病気の知識, 不安障害について

© 2023 ワナビー松本のQOL向上部屋