機能性ディスペプシアや過敏性腸症候群といった心身症、そしてうつ病、またパニック障害や適応障害といった不安障害は心と体のどちらにも影響が出る病気です。
しかも治療方法が確率されておらず、完治する見込みもないことから今後の人生を他の人よりハンデを背負った状態で生きていかなければなりません。
そんな苦しい病気に対して、このような疑問が浮かんできませんか?
「なんで難病に指定されないの!?」
これらの病気を抱えている患者さんは日常生活で苦しんでいるのだから、本来であれば難病指定されても良いはずです。
ですが、難病に指定されないことで患者さんのほとんどが一般社会で健常者達とまったく同じ条件での生活を強いられています。
そこで今回は、難病のことを理解していただいた上で難病に指定されない理由をご紹介し、難病に指定してもらうにはどういった制度内容にすれば良いのかを考えてみましたので、患者の皆さんも医師の皆さんもこれらの病気が難病指定に認定されるように是非ご協力いただければと思います。
難病を理解する
まず始めに、患者の皆さんは難病について詳しい内容をご存知でしょうか?
私も最近までは難病については詳しく理解しておらず、「治る見込みのない病気」のことだと思っておりました。
そこで「難病とは何なのか?」と「難病になるとどういった支援を受けられるのか?」について紹介しますね。
難病の定義について
難病とは「難病の患者に対する医療等に関する法律」に基づいて、以下の通りに定義されております。
難病の定義
・原因不明な病気であること
・治療方法が確立されていない病気であること
・希少な病気であること
・長期に渡って療養が必要であること
このように、不治の病のような意味合いで定義されているようです。
すなわち、「原因が分からないことから治し方が分からない状態、そして少数の人しか掛からない病気で長い間の治療が必要になる」と解釈していただければと思います。
ただ、難病の中でも明確な線引きはされておらず、「じゃあ少数の人しか掛からないって何人ぐらいなの?」「長い間の治療を要するって何年ぐらいのことを言っているの?」と聞かれたら、医療業界関係者でも答えられないでしょう。
このように、ガイドラインとしては制定されていることから難病の定義は一見確立されているように見えますが、実際は数値として見える化されていないので、難病を具体的に理解することは難しい状態になっております。
ちなみに難病と呼ばれている病気は現時点で300種類以上あり、ほとんど馴染みのない病名ですが、聞いたことある病気ですとパーキンソン病などが有名です。
難病指定されると受けられる支援について
では難病に指定された患者さんは、国や自治体などからどのような支援を受けられるのでしょうか?
こちらは住んでいる地域によって異なりますが、以下のような支援が受けられると言われております。
支援の一例
・医療費の公費負担
・障害福祉サービス等の利用
・身体障害者手帳の交付や介護保険の要介護認定
・施設利用料の減免
このように生活費を援助してもらえるというわけではないですが、結果的に金銭面においての負担が軽くなるような制度になっているのです。
難病指定された中でも患者さんの病状や経済状況によって変わるようですが、例えば世間一般的な収入で年間の治療費も一般的な額である場合は、自分で支払う1ヶ月の医療費において約1万円(※)を上限としてもらえることになっております。(※患者負担が2割の場合)
ただし、難病指定してもらうために必要な診断書は都道府県から指定を受けた医師の方のみで、医療費を負担してもらえる場所も同じく都道府県から指定を受けた病院や診療所等であるといった決まりがあって、難病指定してもらうにはかなり厳しい条件になっているようです。
難病に指定されない理由
これまでの内容から難病についてある程度ご理解いただけたかと思いますが、ではなぜ心身症やうつ病、そして不安障害が難病として指定されないのでしょうか?
先程の定義でご紹介したように、発症した原因不明で何年経っても治っていないといった患者さんはたくさん当てはまるはずです。
そこで私は、今でも機能性ディスペプシアの治療で通っている病院の担当医師の方にこの疑問について聞いてみました。
すると、このような返答が返ってきました。
「機能性ディスペプシアは10人に1人が患っている病気だから難病指定ができないのだと思う」
ここで、皆さんはお気づきでしょうか?
この返答が、難病定義の中に記載のあった「希少な病気であること」に当てはまっていることを。
どうやら機能性ディスペプシアに関しては、この疾患を抱えている人が多すぎて難病指定するには難しいようなのです。
この理論で考えると、うつ病も15人に1人、そして不安障害においては種類もたくさんあることが影響しているのか5人に1人と言われており、機能性ディスペプシアと同様に患っている人が多すぎることから難病に指定できないということでしょう。
周りの人から同じような病気に掛かっているといった人はあまりいないようですので、これだけの患者さんがいることを想像することが難しいですが、本人が口に出して言わないだけで、もしかしたら軽度であっても心身症やうつ病を患っているのかもしれません。
そう考えると多少は納得できる部分もあります。
難病指定されるためにはどういった制度内容にするべき?
ですが、本当にこれで全てを納得してしまって良いのでしょうか?
確かにどの病気に関しても医師の方が把握している患者数というのは間違ってはいないと思いますが、実際に私や同じ病気のコミュニティーで繋がっている方々から話を聞いている限りでは周りにそれだけの患者数は存在しない可能性が高いですし、仮にそれだけの患者数がいたとしてもその中で普通に生活していくことが困難なぐらい悪化している人だけで考えると100人に1人かそれ以下しか存在しないと思っております。
そうなると、やはり難病として指定してもらって支援をしていただきたいところです。
そこで、もしどのような支援の内容にすれば心身症やうつ病、そして不安障害のような病気が難病として認定していただけるのかを考えてみました。
それがこちらです。
病状の重さによって受けられる支援の額が変わる制度
すなわち、心身症やうつ病、そして不安障害の中でも軽度・中度・重度といった症状の重さによって3つのランクを分けてそれに応じた支援金を提供するということです。
現在、難病指定できないネックとしては患者さんの数が多すぎることですので、支援金の額を振り分けることで支援額が莫大になってしまうリスクを減らすことはできるでしょう。
確かに難病指定した時点で国や自治体に金銭的な負担は生じますが、全員に一律の支援金を渡すよりかは遙かに負担は少ないと思います。
なぜなら、もし軽度の症状の人が10人に1人で中度や重度の人が100人に1人が存在するのであれば、100人いる世界の中では少しの支援金は軽度の10人に、そして多めの支援金は1人だけに支給する形になるからです。
もちろん、病状の状態を偽って重い症状として申請する人がいないとは言い切れませんので、審査を何回にも分けて慎重にしてもらうことにはなるでしょうが。
そしてランクを付ける基準としての提案はこちらです。
ランクの基準
軽度:症状は当てはまるが何とかフルタイムで働くことはできる状態
中度:寛解する時はあるが症状が大きく出ていることが多くて時短勤務しか働けない状態
重度:発症してから寛解の状態がなくて長い間まともに仕事ができていない状態
一つの指標として収入を得るための仕事が普通にできるかどうかだと思います。
それができない時点で中度以上に分類されて良いはずです。
そして、中度・重度と向かっていくにつれては収入はどんどん下がっていくので、支援金の額を大きく増やしていただきたくことが理想だと考えます。
支援金という言い方をしておりますが、現在の難病支援と同じように医療費の支援のことです。
心身症やうつ病、そして不安障害のような病気は一度患うと非常に長い期間を通院することになるので、患者さんにとっては医療費を支援していただけるだけでも大変助かります。
診察代、薬代、検査費用は積み重なれば本当に馬鹿になりませんから。
それは働けなくなった患者さんにとっては尚更です。
最後に
先程の難病制度は私個人の考えで紹介させていただいた一つの案ですので現段階で実現することはまず不可能なことは重々理解しておりますが、具体的な内容をこのブログやSNS等を通じてどんどん世間に広めていくことでメディアや影響力のある誰かに取り上げていただき、いつかは本当に制度として実現するかもしれません。
だから私は患者さんが住みやすい未来になるためであれば、必要な情報を発信し続けていくつもりです。
もし皆さんの中でも未来を変えるために考えていることがあれば、コメントいただけると嬉しく思います。
ちなみにうつ病の方でしたら、様々な優遇を受けられる障害者手帳を交付してもらえる可能性がありますので、以下の記事を参考にしてみてください。
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では、またお会いしましょう。