機能性ディスペプシアを抱えている患者さん、そしてその患者さんを担当している医師の皆さんはこんなことを考えたことがありませんか?
「機能性ディスペプシアはなぜ治らないのか?」
「機能性ディスペプシアが完全に治った!」なんて言っている人を患者さん達も医師の方々も聞いたことがないのではないかと思います。
少なくとも、私が繋がってる機能性ディスペプシアの患者さんの中には一人もおりません。
ある時、突然病気として発症したはずの機能性ディスペプシアですが、なぜ未だに治療法が確立されていない難病のような状態になっているのでしょうか?
長年、機能性ディスペプシアで闘病生活を送っている私の中で一つの仮説が生まれました。
それはこちらです。
機能性ディスペプシアは突然ではなく生まれつき抱えている持病
信じられない話かもしれませんが、この仮説を立てたことにはそれなりの理由があります。
そこで今回はこの仮説を立証するために、なぜそう思ったのかを私の経験からお話していきますね。
お願い
まだ検証段階のため、あくまで一つの可能性だと思ってこの記事をご覧ください
目次
患者や医師が突然患った病気と勘違いする理由とは?
患者さんの中で機能性ディスペプシアが突然発症したと思ってしまう理由として、以下の2つの事例が挙げられると思います。
①昔は胃が何ともなかったはずだから
②大きな胃の病気を患ったことがキッカケだったはずだから
そういった患者さんの事例を診察で聞いている医師の方も、当然ですが機能性ディスペプシアは突然患う病気だと思ってしまうでしょう。
ですが、皆さんはお気づきでしょうか?
上に挙げた2つの事例に共通しているものを。
それは「はず」という言葉を使っていることです。
「~なかったはず」「~だったはず」というのはあくまで可能性の一つであって、確実にその通りではないということになります。
実は私も既に機能性ディスペプシアになって5年が経ちましたが、この2つが機能性ディスペプシアを突然発症した理由だと今まで思い込んでおりました。
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確かに機能性ディスペプシアになったと思われた段階と比べたら発症する前の方が比較的胃の状態が良好だったという記憶があったのと、機能性ディスペプシアの症状が大きく現われたのは急性胃腸炎のような症状の大きな胃の病気になった時だったからというのはあったのです。
ですが、最近は冷静に考えてみると「本当にそうだったのか?」と思うようになりました。
その理由を次の項目で説明しますね。
なぜ生まれつき患っていたと考えるようになったのか?
では、なぜ私が機能性ディスペプシアが突然ではなく生まれつき患っていた病気だと思うようになったのかですが、その理由を3つご紹介します。
完治に近づいているはずなのに急に大きな症状が出ることがあるから
現在は完治に近い状態までに回復したと自負していた私ですが、それでも大きな症状が出る時があります。
この症状の大きさは機能性ディスペプシアになった当初に近いレベルの嘔吐や吐き気、そして長い期間の胃もたれです。
もし本当に完治へ近づいている状態だとしたら、このように発症時のような大きな症状が何度も出るはずがないと思っています。
なぜなら機能性ディスペプシアが発症するのはストレスや暴飲暴食が大きな原因と言われていますが、私は仕事を変えて現在はかなりストレスフリーな生活を送っていることや暴飲暴食などはぜずにある程度健康的な食生活を送っていることから、本来であれば胃の状態はかなり良くなっている可能性が高いからです。
それにもかかわらず突然大きな症状が出てしまうということは、機能性ディスペプシア自体が突然患った病気ではないのではなくて生まれつき持っている持病なのではないかという考えに至りました。
時間の経過に伴って症状発生の周期が長くなっている
機能性ディスペプシアになってから5年経った現在まで、先程の挙げたような大きな症状が出ることは何回もありました。
そして、その大きな症状が出る周期は年月が経過するごとに長くなっているのです。
これが何を意味するかというと、私は今までこの現象に関しては機能性ディスペプシアが完全に治ってきていると思い込んできましたが、実は完治へ向かっているのではなくて多少落ち着いてきているといったことだという風に捉えました。
これが本当の意味で寛解という状態なのかもしれません。
そして最近大きな症状が現われた際に、私は思い出したのです。
私は機能性ディスペプシアを2回患っていたことを。
そして最初に患った時も大きな症状が現われて、今回と同じように徐々に広がる周期に合わせて大きな症状が出る状態を繰り返していたのです。
だからこそ、実は最初に機能性ディスペプシアになった時点から現在まで私の機能性ディスペプシアはずっと続いていたのではないかと。
確かに、1回目が治ったと思ってからしばらくの間は症状はかなり改善されていました。
好きなものを気にすることなくある程度食べられていましたし、食べた後に乗り物に乗って気持ち悪くなることも少なかったはずです。
ですが、ここでも「はず」を使っています。
そうなんです!
私は今よりも症状が改善されていたから、完治したものと思い込んでいた可能性があるのです。
実際に完治していたと思っていた時代を振り返ってみると、時々は大きな胃もたれや吐き気、嘔吐なんかもありましたし、早期膨満感のような状態に陥る時もありました。
この時点で一般の人よりも明らかに胃の状態が悪いんですね。
だから私はこう思ったのです。
実は1回目は治ったのではなく、寛解状態に入っただけなのではないかと。
年齢が若かったこともあって、大きな症状が出る周期が長くなっていただけなのではないかといった可能性を思いついたのです。
そこで更に物心付いた時から振り返ってみると、既に小学生の時代から小食だったのは早期膨満感があったからなのではないか、またご飯を食べると気持ち悪くて吐き気がすることも結構な頻度であったなと、機能性ディスペプシアの症状に当てはまるものが多々ありました。
これまでの私の胃の状態は、以下のプロフィールを併せてご覧いただくと分かりやすいかと思います。
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ワナビー松本の自己紹介
皆さん、はじめまして。 ワナビー松本です。 現在は主に心理カウンセラーとして活動しております。 私は昔から胃が非常に弱く、幼少期から常に胃の ...
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私も他の患者さんも、大きな症状を極端に短い周期で体感した時点で機能性ディスペプシアを発症したサインだと捉えてしまっているから、途中で発症したと思い込んでいるのではないでしょうか?
このような理由から、実は生まれた時から機能性ディスペプシアを患っていたのではないかという仮説が立ったのです。
生まれつき胃が弱かったから
こちらは上で説明した内容と重なる部分が多いのですが、過去を振り返った際に物心ついた時からは明らかに周りの人と比べて胃が弱かったことが自分の中で理解できたことで、私は生まれつき機能性ディスペプシアになっていたのではないかと考えるようになったのです。
「胃が弱い」という言葉を使っておりますが、言い換えるとこれは「生まれつき機能性ディスペプシアを患っていた」という言葉に置き換えられるのではないでしょうか?
私以外の患者さんも私と同じように生まれつき胃が弱いと感じているからこそ、途中から機能性ディスペプシアを患ったと思い込んでいる人が多いと思います。
ですが、実は生まれた時から患っていて物心付いた時には寛解状態に入っていたのに、また大きな症状が出てしまったことで現在の苦しい状態なっている可能性も考えられなくはないでしょう。
仮説が事実の場合にどう向き合っていくべきか?
前の項目で説明したように、生まれた時から機能性ディスペプシアになっている説が正しければ寛解状態に入ることはあっても完治することはないでしょう。
なぜなら機能性ディスペプシアを抱えた胃を持って生まれてきたのですから、胃を交換するような外的手術でもしない限りは健常者と同じような胃の状態へ変えることは不可能のはずです。
だったらどうすれば良いのでしょうか??
私の中で出た一つの答えとしてはこうです。
機能性ディスペプシアは生まれつきの持病だと思って常に寛解を維持させる心構えを持っておく
仮説通りに先天的なものであった場合は、機能性ディスペプシアが難病であることは当然であることから完治するという見込みがほとんどないので、先天的な持病だと思って向き合っていくことが必要だと考えます。
そして、「健康だと思っていた頃」は常に寛解の状態であったという思い込みをするのが望ましいでしょう。
私の仮説が正しければ、患者さん達は寛解の状態を「健康だと思っていた頃」は維持できていたはずなので、その頃に近い状態を目指すのです。
決して今の胃もたれや吐き気、そして腹痛などが完全に無くなると思わずに。
恐らくこれらの症状は無くなるものではないので、完治すると思い込むとその大きなギャップにショックを受けてしまうでしょう。
ですので、まずは「健康だった頃」を振り返ってみてください。
そこで本当に胃にまつわる症状は何も無かったのか?ということを考えてみていただければと思います。
もし「よく考えてみると私って周りの人と比べて胃が弱かったなぁ」と感じたのであれば、生まれつき機能性ディスペプシアになっていた説も否定できないでしょうから、今後の食生活や仕事などを含めた日常の過ごし方や心の持ち方が変わってくるはずです。
最後に
今回ご紹介した仮説に関しては私の経験がベースとなって立てられたものですので、もちろん全員に当てはまることはないと思います。
生まれつきは本当に胃が健康だった人が、急に機能性ディスペプシアになってしまった人もいるでしょう。
ですが元々胃が弱かったという認識のある人にとっては、完全に否定できるものではないのかなと思っております。
そうでなければ、胃の動きが正常に動かなくなってしまったといった、ある意味単純な病気が完治しないことへの説明がつきません。
今回のことに限らず、様々な仮説を立てていって一刻も早く有効な治療法を医師の方に見つけていただき、苦しんでいる患者さんを救っていただきたいです。
ではまたお会いしましょう。