QOLが低下する病気の知識 うつ病関連について

【うつ病の回復を早めるには?】周りの理解ある接し方が大切です

皆さんの周りに"うつ病"を抱えている人はいらっしゃいますか?

いつもは何かしらの病気を抱えている患者さんに向けて書いている記事が多いですが、今回の記事はうつ病について詳しく分からないといった一般の方に向けて書かせていただいています。

もしご自身の周りのうつ病を患っている患者さんがいらっしゃる場合、その人へどう接したら良いかを悩まれたことはありませんでしょうか?

もし悩まれている場合はうつ病という病気の中身を理解していただき、その上で適した接し方を知っていただくのが良いかもしれません。

それによって、うつ病の気持ちに寄り添って接することできる可能性があるからです。

今回はうつ病を抱えている私から、うつ病の事をあまりご存じない方へ"患者さんへの理解ある接し方"について是非お伝えできればと思いますので、もしお時間が許すならば是非ご覧になってください。

 

 



 

そもそも"うつ病"とは?

 

うつ病の名前を知らない人はいないと思います。

また、どういった症状なのかに関してもある程度はご存じな方も多いでしょう。

ですが、詳しい症状や実際の心の状態というのはうつ病を患った人でなければ分からないと思いますので、これらの内容について私の理解している範囲でお話させていただきます。

まずうつ病に掛かってしまう原因ですが、こちらは仕事のオーバーワーク人間関係のもつれ望まない家庭環境身近な人との死別受験や就職の失敗など、非常に多岐にわたります。

ただこれらに共通していることは、全て本人にとって精神的、または肉体的に異常なまでの負荷が掛かってしまってるので、これらが脳の本来のストレス許容量を超えてしまったために脳自体が正常に働かなくなってしまうのです。

これによって、希死念慮(※死にたいと思うこと)全ての物事に対する意欲の低下といった精神的な面で悪影響を及ぼします。

また肉体的な面でも不眠が続く疲労感が大きい勝手に涙が出る身体が動かない円形脱毛症になるといった症状も現われるのです。

ただ見た目は変わらないことも多いので、うつ病ではない人から患者さんを見た際には一見すると普通の人と変わらないように感じるかもしれません。

したがって、患者さんが会社などを頻繁に休んだりすると「それって甘えなんじゃないのか?」と思うかもしれません。

ですが、実際には先程のような症状を常に抱えているで患者さんは非常に苦しい状態が続いている日常を送っていることになります。

しかもうつ病というのは完治させることが難しく、一度治ったと思っても再発する可能性があるのです。

これに近い例を挙げると、私は"機能性ディスペプシア"という胃の機能障害により胃が正常に働かなくなる病気を数年前に患って以来、いまだに完治しておりません。

この病気は脳から身体へ指令を送る神経が異常を起こしているために発症している可能性が高いので、脳に異常があって正常に働かないうつ病と密接な関係を持っています。

そのため、私も機能性ディスペプシアからうつ病を併発しました。

このような理由から、脳や神経に異常をきたしている機能性ディスペプシアと同じようにうつ病も非常に治りにくい病気であることをご理解いただけるかもしれません。

▼機能性ディスペプシアの詳細記事▼

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このように、うつ病は脳の異常により様々な症状が出てしまっているので、例えば会社を頻繁に休んだり些細な業務でもこなすことが出来なかったりすることは「甘えではない」ということを知っていただきたいのです。

一回治ったと言った人でも再発することが多いのは、先程お話したように基本的には完治しておらずに一時的に寛解(※症状が落ち着いた状態になる)という状態になっているだけだと考えられます。

このような理由から、うつ病というのは如何に複雑で厄介な病気であるのかをご理解いただけるかと思います。

 

うつ病を悪化させる接し方とは?

 

うつ病の基本を理解していただいたところで、周りの人がどのような接し方をすると患者さんのうつ病が悪化してしまう可能性があるのかを知っていただければと思います。

私自身がうつ病になった際、周りの人からの何気ない接し方によって悪化してしまったケースを2点ご紹介しますね。

 

「頑張って!」という言葉を使う

この「頑張って!」という言葉は日常で友人や家族に対して当たり前のように使っているかと思われます。

確かにうつ病を患っていない人に対して使うのであれば、相手のモチベーションを上げるのに有効な言葉かもしれません。

ですが、うつ病の患者さんに対しては禁句に等しい言葉だと考えています。

なぜなら、この「頑張って!」という言葉は患者さんを追い込むことになってしまうからです。

うつ病の患者さんというのは、心のダメージによって身体が思うように動けなくなったために周りと同じような行動ができない自分に普段から焦りを感じている人が多いのです。

そんな状態の患者さんに「頑張って!」という言葉を言ってしまうことで、患者さんは「もっと頑張らないと!」と更に気持ちが焦ってしまいます。

本来「頑張って!」と声を掛けることは、周りから応援してもらっている気持ちになって相手の人を奮い立たせることが出来る可能性があるのですが、うつ病の患者さんにとっては周りの期待されていると感じてどんどん負担が大きくなってしまい、結果的には「こんな辛い状態なのに今よりも努力しなければならないんだ…」といった気持ちになって症状がより酷くなってしまう場合があるのです。

 

アドバイスをする

もしあなたがうつ病の患者さんと親しい間柄や上司であった場合、現在の苦しい胸の内を打ち明けられることがあるかもしれません。

この場合、普通の友達であれば自分の経験や考えなどを交えて「私もこうやって乗り越えてきたからあなたも絶対出来るよ!」とか「私だったら多分こうするからあなたもそうしてみたら?」といったアドバイスをすることがあるのではないでしょうか?

ですが、うつ病の患者さんには同じような病気を経験した方でもない限り、出来るだけアドバイスはしない方がいいと思っています。

なぜなら、アドバイスする側であるあなたと同じ身体の構造をしている訳でもなければ今まで歩んできた人生も違いますので、患者さんは「私にはあなたと同じようにできるわけがない」としか思えないからです。

うつ病によってマイナス思考に陥っている状態では、アドバイスによって現状における自分と周りとの差が露骨に見えてしまって余計に自信を失うといったことになってしまいます。

そのような理由から、うつ病を経験していない人からのアドバイスは逆効果になってしまう可能性が高いのです。

また、うつ病を経験している人からのアドバイスは効果があるのかというと、こちらも効果がある保証はありません。

なぜなら、こちらもアドバイスをする人と同じ生活環境や人間関係で生きたわけではないことから、うつ病になったキッカケが同じでも経緯や背景が異なりますので、悩みを抱えている患者さんがその人と同じように改善方法に取り組めない可能性があるからです。

ですので、基本的にアドバイスによってうつ病の患者さんを救うことはかなり難易度の高い方法だと言えるでしょう。

 



 

うつ病の回復を早める適切な接し方

 

こちらは私の経験から適切な接し方だと感じたものをご紹介しますので、絶対にうつ病患者さんに対して効果があるといったお約束は出来ませんが、少なくとも患者さんを悪化させることはないと考えております。

 

「責めない」「褒める」を意識した接し方をする

先ほど「頑張って!」という言葉は患者さんを追い込むことになるとお伝えしましたが、患者さんは仕事や家事、そしてプライベートといった日常におけるどんな些細な物事でも自分なりに精一杯頑張っている人がほとんどですので、この部分を理解していただきたいと思います。

うつ病になると注意力が散漫になったり意欲が低下したりすることから、普通の人が当たり前に出来ることもミスしやすくなるのです。

そこに普通の人と同じ感覚で怒ったり責めたりしてしまうと、患者さんとしてはどんどん自信を失っていきます。

だからこそ、どんな些細な物事でもミスや失敗したことを責めないでいただきたいのです。

そして、どんな些細な物事でも達成したり出来たことに関しては褒めるぐらいの気持ちで接していただきたいのです。

患者さんは少しずつでも今の状態から脱出するべく前に進もうとしている人が多いですので、この気持ちを無駄にしないように、皆さんの温かい接し方によって少しずつでも自信を付けていくことができます。

あからさまにすると「みんなに気ばかり遣わせて自分はいらない人間なんだ…」と悲観的になってしまう可能性がありますので、極端に気を遣わず自然な感じで上述したことを少しだけ意識しながら接していただけると嬉しいです。

 

出来るだけ話を聞いてあげる

うつ病になると一人では処理しきれないような苦しみを自分の胸の内に溜め込んでいる状態になります。

その苦しみを抱えている時間が長ければ長いほど、また余計なことを考えたりして悩みが増えてきて余計にうつ病の症状が酷くなっていく可能性があるのです。

このような理由から、周りの皆さんにはそんな患者さんの胸の内を聞いてあげていただきたいのです。

皆さんも経験があるかと思いますが、悩み事を誰かに聞いてもらうとスッキリすることがありますよね?

これとほとんど同じ感覚ですが、患者さんの場合は特に悩み事が多すぎて頭の中がオーバーフローしている状態とイメージしていただければと思います。

だからこそ信頼できる周りの人にオーバーフローした悩みや苦しみを話すだけで、アドバイスがなくても少しずつ頭の中を整理できるようになってくるのです。

ここで間違ったアドバイスをしてしまうと患者さんの頭はまた混乱してしまって、悩みや苦しみを増やす結果に繋がってしまう可能性がありますので、基本的には聞き役に徹していただけると患者さんの心が楽になる効果が生まれると考えています。

 

最後に

今回ご紹介した内容を通して皆さんへ覚えておいていただきたい共通事項として、どんな病気の患者さんでも自分の気持ちを理解してくれているということは心の支えになるものです。

だからこそ、病気の症状や患者さんの気持ちを理解した上での接し方というのは非常に大事な薬になるのだと私は信じています。

特にうつ病というのは、完治するような特効薬は存在しません。

一時的に症状を抑えることは可能なので、その後は時間と共に症状が悪化しないよう、また改善の方向へ向かっていくような環境を自分で作っていく必要があるのです。

ですが、自分一人でこのような環境を作っていくのには限界があります。

そこで周りの皆さんの力が必要になってきます。

皆さんから温かい接し方をしていただけることで、患者さんも無理なく改善の方向へ進んでいくことができるでしょう。

 

今回の内容は動画でもご紹介しておりますので、映像の方が分かりやすいといった人はこちらをご覧ください。

 

ではまたお会いしましょう。

 

  • この記事を書いた人

ワナビー松本

機能性ディスペプシアを筆頭にうつ病や不安障害も患った経験から現在は心理カウンセラーとして活動中。

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