皆さんはエンシュアという飲み物をご存じでしょうか?
こちらは胃腸に病気を患っている等が原因で口から固形物の摂取が困難な患者さんのために、医療用として病院より処方される経腸栄養剤です。
私も現在"機能性ディスペプシア"という胃が消化障害を起こす病気を患っていることから一般の人たちと同じような食事量が取れませんので、病院でエンシュアを処方してもらっています。
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皆さんの中でも既にエンシュアを飲まれた人や私と同じような病状によりエンシュアのような経腸栄養剤の摂取を考えてる人もいらっしゃると思いますが、「どんな味がするのか?」「どの味が美味しいのか?」「種類はどれだけあるのか?」「値段はいくらするのか?」「実際の効果はどうなのか?」といった疑問があるかもしれません。
そこで今回は、実際に全種類のエンシュアを飲んでみた私がこれらの疑問に対してお答えしていきますね。
お知らせ
2021年8月28日更新しました。
目次
エンシュアの種類について
エンシュアに関しては大きく分けて2種類が存在します。
参考
・エンシュア・リキッド (以下リキッド)
・エンシュア・H (以下H)
この2種類の大きな違いは栄養成分の量と味の種類です。
栄養成分は主にカロリー、脂質、炭水化物、ナトリウムですが、Hは同じ内容量でこれらの栄養成分がリキッドに比べて1.5倍に増えており、味の種類に関しても3種類から7種類に増えています。
元々はリキッドが使われていたそうですが、このような理由から現在はHに切り替えている医療機関も増えてきてるそうです。
よって今回はエンシュア・H (以下エンシュア)についての調査結果をお伝えしていきます。
栄養成分について
エンシュアは豊富な種類の栄養成分が入っておりますが、その中でも固形物をあまり食べられない人にとっては特に大事な成分があります。
それはカロリーと炭水化物です。
なぜなら固形物をあまり食べられない人は、胃もたれや腹痛を起こしやすいことによりカロリーや炭水化物が多く含まれる揚げ物やお米のようなものは特に食べることを避けやすくなってしまうので、必然とこれらの栄養が不足しがちな状態となります。
では、これら2種類の栄養成分はどれぐらいあるのでしょうか?
参考
・カロリー=375kcal
・炭水化物=51.5g
このようにエンシュアを1本飲むだけで、カロリーはお米で換算すると約230g分になることから相当牛丼の並ぐらいに相当し、また炭水化物は食パンに換算すると6枚切りを2枚食べたことに相当します。
胃腸に障害を抱えている患者さんが実際に牛丼の並や食パンの6枚切りを2枚食べることは困難だと思いますので、栄養の補助という観点ではエンシュアの成分は非常に優れたものと言えるでしょう。
実際に飲んでみた共通の感想
今回は2021年8月までに処方されている全7種類を実際に飲んでみましたので、まず全ての味に共通する率直な感想をお伝えしたいと思います。
実際に飲んだ味
・バニラ
・珈琲
・バナナ
・黒糖
・メロン
・抹茶
・ストロベリー
意外と美味しい
栄養剤と聞いてたので「どうせ薬のような味がするだろうな。。」と期待していませんでしたが、実際に飲んでみると意外と美味しくてビックリしました。
もちろん好みの味かどうかにもよりますが。。
どの味もスイーツのように甘く、食感は少しドロッとした感じになっているので、良い言い方をすればマックシェイクのようなデザートドリンクを飲んでいるような感覚になれます。
個人的にはプロテインより断然好きです。
ですので今までプロテインのような栄養ドリンクの風味が苦手で続かなかったといった皆さんも、好きな味のエンシュアであれば無理なく毎日飲めるかもしれません。
お腹が結構張る
最初、水分だと思ってゴクゴク飲んでいたら飲み終えた頃には結構お腹が張っていました。
一気に丸々1本を飲み干すと、一時的に結構胃が重たいような状態(※胃もたれではない)になります。
やはりデザートドリンクのような感じでドロッとしていることから、固形物と同じように胃の中に留まってしまうのではないかと思います。
よって、エンシュアを飲んだ後は一時的に他の物を食べることが困難となるでしょう。
消化が早い
お腹には一時的に溜まりますが固形物に比べると消化が早く、同じカロリー量の食べ物と比較した場合は半分ぐらいの時間で消化されているように感じました。
例えば私の場合は朝食替わりに飲むことが多かったですが、昼ご飯を食べる4時間後ぐらいには胃の中からエンシュアがほとんど無くなってたような感覚になり、普通にご飯を食べることが出来ました。
もちろん人によっても個人差があったり体調によっても消化の早さが異なってくるので、何回か飲んでみて消化にどれぐらいの時間が必要となってくるかを試した方が良いでしょう。
匂いや後味はほとんど変わらない
エンシュアは抹茶であれば抹茶の粉といった、実際に味の成分が入っておらずに香料のみで風味を付けているためか、匂いはすべての種類がほとんど同じです。
種類によっては匂いが多少付いているものもありますが、あまり期待しない方が良いです。
また後味は、悪い言い方をすると血を舐めた時の味に近いものがあります。
これも全ての種類において同じなので、エンシュアという飲み物は飲んでいる間だけの味を楽しめるものなのかもしれせん。
エンシュアの効果
私はエンシュアを飲み始めてから3ヶ月ほどになり、現在は1週間に2本ぐらいのペースで続けています。
その中で間違いなく目に見える効果として感じたのは「体重減少が無くなった!!」です。
食べる量自体は飲み始める前と変わっていませんが、以前の私であればこの食事量だと少しずつですが体重が落ちていましたので、体重が減っていないと事実はエンシュアを飲み続けていることによる最低限の効果は発揮されていることを実感しています。
1週間に2本というと少ないと思われるでしょうが、私の患っている機能性ディスペプシアという病気は胃の不快感に定期的な波があって、それによってご飯があまり食べられない時が週2日の2食分ほどに該当するので、そんな時にエンシュアを食事替わりに飲むことで効率良くカロリーや炭水化物等を摂取できているのだと考えています。
ですので、胃に不快感があって食欲のないといったことが毎日ある人は毎日1本ずつ、月に3回ぐらいしかない人は月に3本と量を調整することで最大限の効果を発揮するでしょう。
効果的な飲み方
私のように効果を得るためには、食事があまり食べられずに栄養が不足していると感じた時に効率良く飲む必要があります。
色々な飲み方を試した中で、私が一番効果が出た飲み方をご紹介します。
朝食代わりに飲む
朝ご飯というのは元々あまり食べられない人もいますし、私のように朝ご飯をまともに食べると昼ご飯の食べる量に影響が出るからといった理由で敢えて抑えめにする人もいます。
そんな人には、朝ご飯の代わりとしてエンシュアを飲むことをお勧めします。
冒頭でお伝えしたように、エンシュア1本でカロリーが牛丼並に使われているお米の量に近いカロリーと食パン6枚切りを2枚に近い炭水化物を摂取できるので、朝ご飯の段階でカロリーと炭水化物をかなり稼ぐことが出来るのです。
そしてエンシュアの消化も固形物よりは早いことからお昼ご飯も普通に食べられると思いますので、カロリーや炭水化物の一日の摂取量合計すると普段調子が良い時に食べられている分と同じぐらいの数値になっていると思います。
数回に分けて飲む
もしご飯のような固形物が終日通してほとんど入らなさそうな調子の場合や朝に1本を飲み干すと昼ご飯までに完全に消化できない人は、1本を数回に分けて飲むことがお勧めします。
このようなケースは、液体飲料であるエンシュアであっても消化に時間がかかることになるため一気に飲み干すと長い胃もたれで苦しむ可能性があります。
そこで朝に飲んで残った分のエンシュアはラップをして冷蔵庫に入れておけば24時間以内は飲むことができるので、飲めるときに少しずつ飲んでいき、その日のうちに1本飲み干すことを目標にすれば良いと思います。(※保存方法や期限は医師の人へ確認済)
他の固形物でどうしても栄養が取れない場合でも、このようにエンシュアを1本飲むだけで体重減少の影響は少なくなるでしょう。
オススメしない飲み方
反対に効果があまり表われないような飲み方もありますので、そちらもご紹介します。
私はこれらの飲み方では効果が出るどころか体重が落ちていきました。
食後に飲む
本来エンシュアは"朝食後に服用"と記載されていますが、普通にご飯を食べた後に飲もうとしても胃が弱っている人であればまず飲みきれません。
私も最初は本来の服用方法として朝食後に飲んでいたのですが、かなり胃が膨れ上がって消化が非常に遅くなってしまい昼ご飯が食べられなくなる上に胃もたれで長い間苦しむといった事態に陥りました。
このように一日の栄養の合計摂取量が減ってしまっては元も子もないので、食後ではなくご飯の代わりとして飲むことが望ましいでしょう。
ちなみに「ご飯の代わりにエンシュアを飲んでもいいのか?」と医師に確認したところ、「問題ない」との事でしたので、是非食事の代わりに飲んでみてください。
ご飯やスイーツと一緒に食べる
こちらは量の問題もありますが、それよりもエンシュアの味がご飯にまったく合わないことから食欲が失せてしまうことの方が大きいです。
そもそもエンシュアはすべて種類の味が甘いので、ご飯に合うものではありません。
「だったらスイーツなら合うんじゃないの?」という話ですが、残念ながらこれも合いません。
私は和菓子と洋菓子の両方ともエンシュアをお供にして試してみましたが、感想の部分でお伝えしたように後味が若干血のような味がするので、せっかくメインとして楽しみにしていたスイーツの味が台無しになってしまいます。
あくまでエンシュアは栄養剤であるために、本来の珈琲やジュースのように他の食べ物に合うように作られておりません。
したがって、エンシュアは単体で飲むことをお勧めします。
寝る前に飲む
いくら固形物を食べた時より消化が早いと言っても、他の水分と比べると比較的消化は遅いです。
少量であれば問題ないでしょうが、寝る前なんかに丸々飲み干してしまうとと胃が苦しくなって胃もたれ状態になってしまい高確率で眠りを妨げます。
エンシュアを飲まなければならない人が恐らく寝る前に固形物を食べることはないと思いますが、それと同じで寝る前に大量のエンシュアを飲まない方がいいでしょう。
1本あたりの価格
こちらは医療費の負担率や処方してもらう薬局でも異なるので正確な価格は分かりませんが、私が実際に処方してもらった際に掛かった医療費から算出してみましたので、参考程度で捉えてください。
ちなみに私は健康保険証があるので、3割負担の価格で算出しました。
参考
1本あたり69円
これを知った時、「意外と安い!」という印象を受けました。
もし、この10割負担になった場合で換算すると230円になります。
普通に健康保険証がある人であればジュース1本よりも安い価格で購入できることになるので、効果が大きい面からも栄養剤を検討している人は迷わず処方してもらった方がいいでしょう。
正直毎日飲めるものではないので最初はお試しで数本にしておき、様子を見ながらエンシュアを飲まなければならない頻度が多いと感じたら次回来院時はその分だけ増やしてもらえば良いと思います。
飲みやすい味ランキング
それでは皆さんが気になっているかもしれないエンシュアのそれぞれの味ですが、今まで飲んだことのある6種類のエンシュアの中で私の独断と偏見でランキングを付けてみました。
今後、エンシュアを処方してもらう際の参考にしてみてください。
第7位
最下位は「バニラ味」です。
匂いが少ないエンシュアの中でもバニラの匂いが強いことは評価できるのですが、それが余計にバニラ味のアイスやマックシェイクの期待感を抱いてしまい、実際との味のギャップにショックを受けてしまいます。
こちらは栄養剤と割り切って飲んだ方がまだ美味しく飲めるので、敢えて匂いは無しでも良かったのではないかな?と感じました。
第6位
第5位は「抹茶味」です。
こちらは私の中での期待度がNo.1だったのですが、実際に飲んでみるとバニラと同じように実際の抹茶との違いに悲しくなりました。
これは私が悪いのでしょうが、スイーツと合うだろうということで勝手にセットで召し上がったことで余計にイメージが悪くなってしまいました。
これで匂いまで抹茶風味が強かったら最下位になっていた可能性もあります。
第5位
第5位は「ストロベリー味」です。
いちごの風味が強い部分は評価できます。
バニラと比べるとマックシェイクのようなデザートな感じは若干強めに感じました。
ただ、いちご味とエンシュアの成分があまりマッチしていないように感じ、最初はデザートのような味でも後から血を舐めたような風味が残ってしまいます。
パックで市販されている"イチゴオレ"が大好きな人であれば合うと思いますが、そうでない人が飲むと「美味しい!」とまで感じることはまず無いでしょう。
第4位
第4位は「黒糖味」です。
黒糖の味が結構しっかりしていて栄養剤としての完成度は高いなと思いました。
もちろんスイーツには合いませんが、黒糖の和菓子が好きな人であれば単体だと意外と美味しく感じるかもしれません。
反対に黒糖系が苦手な人にとっては、一番苦手なエンシュアに抜擢される可能性ありです。
第3位
第3位は「珈琲味」です。
匂いも味もかなり珈琲の色が強いことから、珈琲自体が好きな人にとってはかなりお勧めできるものです。
実際に年配の人には人気があるようで、この珈琲味も今回3度目のリニューアルにより更にコーヒー感やビター感がアップされたようで、珈琲ファンから愛される一品となっております。
ただ珈琲としては甘すぎるので、普段からブラックしか飲まない人には少々物足りない感はあるでしょう。
第2位
第2位は「メロン味」です。
上品なマスクメロンのような風味で味が濃く、個人的にはかなりお気に入りのエンシュアです。
匂いはほとんどないため、変にメロンとして意識せずに飲めることから本来の味とのギャップが少なくゴクゴク飲めてしまいます。
そしてメロンの味付けが濃いことから、後味の悪さも気にならないのでまた飲もうと思える一品です。
第1位
数あるエンシュアの中で栄えあるトップに輝いたのが「バナナ味」です。
メロンに負けず劣らずでバナナの味が濃くて、後味も気になりません。
バナナシェイクを飲んでいるような感覚になり、他の味と比べてもバナナ味はデザート感覚で飲むことができる数少ないエンシュアと言えるでしょう。
正直、美味しさでいうとメロンも同じぐらい美味しいですが、バナナを1位に選んだ一番の理由がエンシュアという経腸栄養剤で味付けできる人工的な甘さと完全にマッチしていたと思ったからです。
私が唯一、普通にご飯が食べられるコンディションでも自分から飲みたいと思ったエンシュアがバナナ味のみです。
エンシュアを手に入れる方法
エンシュアは病院で処方してもらうしかありません。
医師に確認したところ「市販でも売ってるかも」との事でしたが、調べてみたらエンシュアは"医薬品"と分類されているためか市販で売っていませんでした。
摂食障害を患っている人や手術で口から固形物を摂取することが困難な人には普通に処方されると思いますが、私が患っている機能性ディスペプシアのような最低限の食事は取れるけど食べ物の量や質に制限があるような人にはまず処方されないでしょう。
私の場合も「カロリーが高い物が食べられないので、カロリーを摂取できる薬を出してください!」と自分からお願いししたことで、病気になっていた5年の間に初めて処方してもらったぐらいなので。
したがってストレートに医師へお願いしてみてください。
「カロリーや炭水化物が不足してるのでエンシュアを処方してください!」
何度か病院に通っていて、体重が減ってしまうような食生活を毎日送っている背景を理解している医師であれば問題なく処方してくれるはずです。
もし、処方してくれなかったり何度も病院へ行く機会が無くてエンシュアが足りない人には、市販でメイバランスという栄養ドリンクがあります。
こちらは有名なmeiji (明治)が発売しているので、普通にスーパーや薬局にて購入することが可能です。
栄養の要素はエンシュアまではいきませんが、それでもカロリーは約200kcl、炭水化物は約30gと市販の栄養ドリンクとしてはかなり優秀だと思います。
スーパーや薬局だとカップのタイプの物がほとんどですが、Amazonや楽天の通販であればパックのタイプも取り扱っているため保管もしやすくて便利ですし、色んな味を一回の購入で楽しめるのでオススメです。
価格もカップと同じ量でほとんど同じですし、賞味期限も半年以上はあるはずなので十分に飲みきれると思いますよ。
ちなみに病院では点滴によるカロリー摂取も可能みたいですが、こちらは何も食べたり飲んだりできないような状態の時に実施する最後の手段との話でした。
最後に
今回は病気にでもならない限りはまず出会わないであろう、経腸栄養剤のエンシュアについて詳しくお話させていただきました。
馴染みのない飲み物だからこそ、実態を詳しく調べて記事にする必要があるなと感じたのです。
やはり栄養剤であることからすべての味に共通して非常に美味しいと感じるものではありませんが、ランキングでご紹介したように味によっては栄養剤と割り切ったら意外と美味しく飲めるものもあります。
自分好みの味もあると思いますので、好きな味を数本ローテーションしながら飽きない工夫するをすることで効率良く栄養を摂取することが可能でしょう。
この記事により、皆さんがエンシュアで上手に栄養を取り入れることで体重減少を防止することにお役立ていただけたら嬉しいです。
また、こちらの内容は動画でも説明しておりますので宜しければご覧ください。
ではまたお会いしましょう。